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鉄道の駅に設置されている、次の列車の時刻や行先を案内するための装置のことを「発車標」と呼びます。
現在では機械的に動作するものがほとんどですが、以前は列車ごとに手書きの板(木札等)が用意され、発車時刻が近づくと改札口に掲出していたこともあってか、駅名標などと同じく「標」という字が使われています。
一般的に鉄道会社内では「発車標」と呼ばれているようですが、旅客向けには「発車案内板」や「電光掲示板」などとしてアナウンスされています。
サボ式などとも呼ばれるようです。
現在は一部のローカル線などで、使用されているところもあるようです。
列車の行先方向幕のように、多くの行先や時刻がフィルムに印字されており、回転させることで次の列車の行先などを表示させるようになっています。
現在ではほとんど見ることができないものです。
ソラリー式とも呼ばれますが、次の列車の表示にうつる時に「パタパタ」という音がすることから、「パタパタ式」の方がよく聞くかもしれません。
現在でも一部の私鉄などで見ることができますが、徐々にLED式やLCD式などに置き換えが進んでいます。
発光ダイオード(LED)を使用して任意の文字を表示させるもので、現在全国的に最も主流な発車標と思われます。
以前は緑・赤・橙の3色しか表示できないものが多数でしたが、最近では白を中心に多くの色が表示できるフルカラーLEDを用いたものが増えています。
液晶ディスプレイ(LCD)に列車の行先や時刻等を表示させるもので、パソコンやスマートフォンの画面のように多種多様な表示が可能となっています。
近年ではLED式に変わってLCD式の導入が増えており、今後の主流となっていきそうです。
ブラウン管を用いたCRT発車標や、プラズマディスプレイを用いたPDP発車標、印刷されたプレートの背後から電球や蛍光灯で表示面を照らす行灯式発車標などがありますが、現在はほとんど使用されていないようです。
従来型CTC・PRCが持っていた課題を解決し、超高密度な東京圏において適用するために開発した運行管理システムが東京圏輸送管理システムATOS(アトス:Autonomous Decentralized Transport Operation Control System)です。
そもそも、CTC・PRCとは何なのか、超簡略的な画像を作ってみました。
(参考文献:http://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_5/12-20.pdf)
信号機・ポイントなどは、駅ごとの信号扱い所の係員が手動で操作します。
係員の注意力と電話連絡で列車の運行を行います。
信号機・ポイントなどを、遠隔で指令員が操作します。
全体を把握して列車を運行できますが、係員の注意力が必要なのには変わりません。
信号機・ポイントなどを、ダイヤデータを基にコンピューターが自動で制御します。
ダイヤが乱れなければ、基本的に自動で列車の進路を構成できます。
東京圏という、超高密度なエリアを、一元でコンピューター管理してしまうシステムです。
“一元で管理”することで起こるリスクとして考えられるのが、システムの一部分が故障してシステムダウンすることです。
ATOSでは、自律分散システムを採用し、中央装置との通信が途絶えても駅単独のPRCとして稼働させることができるというのが特徴です。
当サイトで扱っている「ATOS連動発車標」は、ATOSの付加的な機能である“旅客案内”の1つです。 LED発車標は、ATOSの導入されていない駅でも旅客案内として使われています。 輸送管理システムとLEDによる旅客案内の関係性を見てきましょう。
通常時は発車時刻になったら列車が繰り上がり、ダイヤ乱れ時には駅社員の入力操作によって繰り上がりを遅らせたり、順序変更、運休(列車を削除)、最悪の場合は発車標そのもの非表示にする場合もあります。 発車標と信号が繋がっていないので、列車の接近を知らせることもできません。 CTCの路線もダイヤを持っていないので、旅客案内としては非システム駅と同様です。
PRCやATOSがこれに該当します。但し、PRCも性能によって様々で、上に書いた「信号機・ポイントなどを、ダイヤデータを基にコンピューターが自動で制御」だけを行うものもあれば、ダイヤや在線データを基に旅客案内を行うものもあります。また、路線としてPRCを導入していなくても、駅の電子連動装置にPRC同様のダイヤを持つつ「駅PRC」もあります。 この場合、列車の順序が変更になったり、運休になった場合、路線全体でダイヤを共有しているため、リアルタイムに情報が反映されます。
ATOSと連動する旅客案内には、大きく分けて自動放送と発車標の2つがあります。
ここでは発車標について見てみましょう。
設置される場所に応じて、表示動作の設定が異なります。
見分け方は「列車(電車)がまいります(通過します)」が表示されるかどうか。
そのホームから発車する列車を順番に表示。1台で1つの番線しか表示しない。
列車(電車)接近時には「列車(電車)がまいります(通過します)」を表示
さまざまな条件でソートされた列車を表示します。番線が混合になるため、特定のホームの接近を表示することはありません。
階段上などに設置するケースでよく見られます。
改札上などに設置するケースでよく見られます。
特定の種別や列車だけをピックアップして表示する発車標です。
規模の大きい駅、複雑な輸送体系の駅で見られます。
本来なら2台の発車標を設置すれば良いところ、スペースやコストの都合で1台の発車標で済ませているケースがあります。比較的中規模の駅で見られます。 ついつい1段目に目が行きがちなので、慣れるまで時間がかかるかもしれません。 スクロールを設定してしまうと、2段目が消えてしまうので、その点が考慮されていない発車標は使いものになりません。
川越駅では、3・4番線が1本の線路に対して両側ホームのある構造で、どちらのホームにも発車標が設置されている。
列車は乗車側ホームに表示され、降車側ホームは無表示の段になる。接近は両側とも表示される。
交互表示で見分けよう。
当サイトでは、LEDパネルの横幅を「桁」・縦幅を「段」と呼びます。
横幅が10桁の場合には、全角で10文字分が表示できます。
縦幅が2段の場合には、2つの列車が表示できます。
ATOS連動発車標において最も小さな発車標は、8桁1段のものです。
運行パターンが比較的シンプルな山手線・京浜東北線・中央・総武各駅停車・常磐線各駅停車などでよく見られます。
8桁が最小である理由は、「列車がまいります」や「電車が通過します」などの接近表示が必要であるからと思われます。
ATOS連動発車標で最大のものは、上野駅中央改札口に設置してあった27桁6段のものと思われます(撤去済み)。
現在では、同じく上野駅に設置されている27桁4段のものが最大と思われます(フルカラーや特殊な発車標を除く)。
横幅8〜12桁程度・1〜2段の発車標が多くの駅で見られます。
(写真は12桁2段)
特急停車駅では14桁以上、運行系統が複雑なターミナル駅等では18桁の発車標が用いられることもあります。
当サイト独自の区分です。
ATOS導入区間に設置されている発車標に絞って紹介します。
JR東日本管内で幅広く用いられている発車標で、新陽社が製造しています。
ATOS連動発車標の大多数は、この形状の発車標となっています。
ATOS導入区間以外でも、このタイプの発車標をよく見かけます。
新宿駅コンコースや、南武線の駅などで見ることができる小型の発車標です。
横浜支社管内の駅で特に多く見ることができます。
東京駅や立川駅の一部などには、複数の路線やのりばの発車標が、1つの筐体にまとめられているタイプが設置されています。
以前は戸塚駅にも設置されていました。
標準タイプに似ていますが、よく見ると形状が異なっています。
日本信号による製造で、ATOS管内では京浜東北線や山手線の一部駅に設置されていましたが、2019年までにすべて置き換えられました。
ATOS導入より前の、国鉄末期からJR初期に製造された発車標です。
ATOS導入により表示内容が変わっていますが、装置自体は古いままのようです。
日本信号製の古い発車標です。
京浜東北線など一部の駅で使用されていましたが、現在ATOS管内で使用されている駅はありません。
宇都宮線・高崎線方面で多く使用されています。
天井が低い駅で、特に大宮支社管内においてよく見ることができます。
ターミナル駅を中心に、フルカラータイプの発車標が使用されています。
駅によっては、上に挙げたような形の筐体が使用されていることもあります。
PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)によって表示されるATOS連動の発車標で、横浜駅に設置されていましたが、駅工事に伴い現在は撤去されました。
表示パターンも、LEDタイプと同一になっています。
五日市線熊川駅の改札に設置されている発車標も、中身はPDP(または液晶)と思われ、必要のない部分はカバーが掛けられています。
近年導入が増えているLCD(液晶)タイプの発車標です。
以前はコンコースに限って設置されていましたが、最近ではホームにも設置されるようになっています。